東北一の大都市である仙台の観光地の定番『仙台城』は、仙台駅から地下鉄東西線や市営バス、観光周遊バス「るーぷる仙台」などで行くのが一般的ですが、徒歩で移動してみると、仙台城主「伊達政宗」の時代からの“痕跡“が多く残っていることが分かります。
今回は、仙台城と仙台駅を結ぶ、江戸時代のメインストリート”大手筋“を歩いて見ることで、いくつかの”痕跡“を感じつつ、仙台名物やカフェを味わうことができるコースを紹介します。
(痕跡については説明を軽くしており、全体として仙台観光の定番をより深く楽しめるコースとなっております。)
①大橋〜川底に残る穴は何?〜
仙台城から仙台駅の方へ歩いて行くと、すぐに大きな橋(大橋)が見えてきます。
大橋の上から上流側(北側)の川底を見ることができるのですが、そこには様々な大きさの丸い穴が空いているのがわかります。
この穴の正体は一体なんなのでしょうか?
大橋は、今から約400年前、伊達政宗が仙台城や城下町(今の仙台の中心部)をつくるにあたり、大橋は仙台城と城下町を結ぶ重要な橋でした。
ところが、大洪水が何度も起き、その度に流されてしまっていました。
そして、大橋は重要な橋なので、流されるとすぐに川底を丸く掘り、柱を立てて、橋を作り直すということを繰り返していたそうです。
川底の穴の正体は、江戸時代に作り直されていた大橋の柱を支えていた穴なのです。
②大坂〜坂の向こうに見えるものは何?〜
大橋を渡ると、すぐに緩やかな坂が見えますが、これが大坂といいます。
坂が上がっている方に道がまっすぐ続いており、一番向こう側のブルーのガラスのビルまで一切遮るものがなく、空を全部見ることができます。
このブルーのガラスのビルは、仙台駅の横にある「パルコ」です。
大坂を登った先から見えるまっすぐな道こそが、江戸時代のメインストリートだった大手筋であり、当時からこの道はそのままで遮られていません。
つまり、江戸時代の人たちが見ていた空と同じ空を今も見ることができるのです。
ところが、通りをよく見て見ると、大坂の先の道路より大坂の道路の方が大きく広くなっているのが分かります。なぜでしょうか?
これは、車の交通量に合わせて拡幅しているからです。
実は、今の大坂は江戸時代とは姿が大きく変わっていて、幅だけでなく、坂の傾斜も車に合わせて緩やかに均しているのです。
当時の坂は、もっと急(約9m)で、その地盤は今でも大坂の中腹あたりに残っています。
左右を見渡して見ると、大きく崖になっているのが分かります。
③芭蕉の辻〜2車線から3車線に変わるのはなぜ?〜
大坂から、商人の町だった「大町」を抜けていくと、江戸時代の仙台を東西に分けた南北の通り“奥州街道”にぶつかります。
歩いてきた大手筋と奥州街道が直角にクロスしているここは、“芭蕉の辻“と呼ばれており、ここを基準に城下町がつくられました。
芭蕉の辻より北側には”国分町“があり、今では仙台一の飲屋街になっていますが、当時は大町に次いで大きな商人の町でした。
つまり、大町と国文町が接する芭蕉の辻は、江戸時代にける仙台一の商業の中心地だったのです。
ところが、時代が進むに連れて、商業の中心は仙台駅のほうに移動していきました。
それでも、周辺の商店の人々が「もう一度ここに賑わいを取り戻そう」という思いで私財を投じ、南側の道路幅を広げ、芭蕉の辻まで路面電車を引き伸ばしました。
そのため、今でも、北側は2車線なのに対して、南側は3車線になっているのです。
④阿部蒲鉾店・本店〜仙台名物の手焼き体験ができる!?〜
ここまで歩いたら、仙台発祥の名物「笹かまぼこ」で小腹を満たすのはいかがでしょうか?
笹かまぼこは、魚のすり身を練ったものを笹の形にふっくら焼いたものですが、なんとその笹かまぼこを自分の手で焼いて食べることができるお店があります。
そのお店が、阿部蒲鉾店・本店です。
店内に入って、店員さんに言うと、地下一階の手焼きスペースに案内してもらえます。仙台名物を自分の手で焼いて食べるという貴重な体験をどうぞ!
また、近年、ひょうたん型の可愛い見た目がSNSで広がり、食べ歩きにぴったりだと人気急上昇中の「ひょうたん揚げ」も、ここで食べることができます。
蒸しかまぼこが入ったアメリカンドッグという感じで、かまぼこのプリプリ感と旨味を味わうことができます。
一本一本が手作りで、サクッと衣が揚がるように気温によって油の温度を変えています。
【インフォメーション】
住所:宮城県仙台市青葉区中央2-3-18
営業時間:10:00〜19:00
定休日:年中無休(ただし元日休業)
料金:手焼き笹かま体験210円(税込)
ひょうたん揚げ200円(税込)※アタリが出たらもう一本
予約・お問合せ:022-221-7121
ホームページ:http://www.abekama.co.jp/
⑤三滝山不動院
アーケードを歩いていると、商店の並びに突如現れる不思議な空間が「三滝山不動院」です。
ここには、福の神・仙台四郎が祀られており、商売繁盛や無病息災を願う地元の人々から人気があります。
仙台四郎は明治時代に実在した人物で、彼が立ち寄った店は繁盛したり、抱いた赤ん坊は丈夫に育ったりと、多くの人から愛されていたのです。
そんな三滝山不動院ですが、実は数十年前まで寂れていました。
三滝山不動院の始まりは江戸時代末期で、この周辺のまちを守っていましたが、第二次世界大戦の空襲により壊滅してしまいます。
それでも、まちの方々の熱い思いで、焼けた材木などをかき集め、なんとか再興します。
ですが、三滝山不動院は一般的な寺院とは違って、参拝客がいないと成り立たない加持祈祷の寺でした。
そこで、昭和の終わり頃から登場したのが仙台四郎です。
仙台四郎の人気は当時からあったため、仙台四郎の像を安置することで、 “仙台四郎安置の寺”として再出発し、参拝客で賑わう今があります。
おみくじも50円と安めなので、ぜひ仙台四郎を崇めにいらしてください。
⑥Café 青山文庫
いよいよ仙台駅に着きますが、その前におしゃれなカフェで一休み。
このお店のコンセプトは「本と珈琲とインクの匂い」です。どういうことなのでしょう?
お店に入ると、すぐに大量の本が目に飛び込んできます。
様々なジャンルの本があり、テーブルごとに置いてある本のテーマが違く、カウンター席にも文庫本が一列に並んでいます。
本に囲まれたとても落ち着いたレトロチックな雰囲気のブックカフェで、コーヒーだけだなく、美味しいケーキやお食事メニューもあります。
【インフォメーション】
住所:宮城県仙台市青葉区中央2-1-27 ever-i中央ビル 5F
営業時間:11:00~24:00(ラストオーダー23:00)
定休日:無休
予約・お問合せ:022-209-5115
ホームページ:http://green-coffee-farm.com/aoyamabunko/
まとめ
仙台の観光地や名物を巡る一見、定番なコースですが、よくよく見ると面白い“痕跡”を感じることができます。ぜひ、この“新”定番コースを楽しんで見てください。
Comment On Facebook